#CASE 02:三澤渚さんのお悩み


「うふふ、七海ちゃーんふふふっ♡」

「ちょっ……お、お姉さま、顔が近いです~」

「だぁって、せっかく2人っきりなんだもん、いっぱいくっつきたいわ」

「うううっ……ダメですよ、もうすぐ人が来るんですから」

「平気へいき、まだ大丈夫よふふふっ♡」

「大丈夫じゃありませんよ。お姉さまはミカ女みんなのアイドルなんですから、こんなところを見られたら……」

「見られたら、どうなのかしら? じぃぃぃっ」

「うううっ」

「顔が赤いわよ、七海。ふふふっふふふっ♡」

「ゆ、誘惑しないでください……今日はこれから、ここで後輩の『お悩み相談室』を、2人でするんですよ」

「そうね、そういうことだったわね」

「はぁ……ちゃんとできるかしら、心配です」

「七海になら、余裕でできるわよ。なんといっても、環境整備委員の委員長なんですから」

「でも……わたしが、人にアドバイスなんて……」

「んもう、七海は難しく考え過ぎなのよ。リラックス~、リラックス~」

「わわっ、お姉さま、いきなり抱き付いてこないでください」

「ふふふっ♪ 体がガチガチになってるわよ、七海」

「えっ……? もしかして、わたしの緊張を解くために、さっきからわざとふざけていたんですか」

「そ、それは………………ええ、その通りよ」

「今の間、なんか怪しいです……」

「もう、七海ったら……そんなこと言う子には、もっとイチャイチャしちゃうんだからふふふっ♡」

「お、お姉さま~、わわわっ、だめぇ~」

ガラッ……
「失礼、します……」


「わわっ!」

「あら、ごきげんよう。さあ、こちらへおかけになって」

「(ううっ、お姉さまったら……相変わらず、変わり身が素早いです)」

「七海さんも、そんなところにいないで、こちらへいらっしゃい」

「は、はい……」

「ではまず、自己紹介からしましょうか。私は本校3年生の、松原優菜です」

「わ、わたしは、2年の織田七海です」
「わたしは、附属部の三澤渚と言います」


「渚さんね、細くてカッコいい……もしかして、運動系の部活とかやってますか?」
「はい、陸上部に所属してます」


「それじゃあもしかして、篠崎六夏さんのことも知っているんじゃ……」
「だ、大ファンですっ! 先輩、お知り合いなんですか!?」


「ええ、そうなの。それでね……」

「七海さん、お話はそれくらいにして、渚ちゃんのお悩みを聞きましょうか」

「は、はい……すいません。渚さん、ごめんなさい」
「いいえ、お気になさらず」


「それで、渚ちゃんの悩みというのは、何かしら?」
「はい、わたしの悩みは、幼なじみのことで……」


「幼なじみ……同じ学校なのかしら?」
「はい。クラスも一緒で、いつも傍にいるっていうか……」


「とても、仲が良いのね」
「ですが、良すぎるというか……2人でいると、すごく目立っちゃうんです」


「目立つ? 渚さんもカッコいいし、その相手の方もきっと、素敵なんでしょうね」
「あの子は……高幡莉菜っていうのですが、すごく可愛いです。でも、それだけじゃなくて……」


「なにかしら?」
「その、えっと……人前で、平気でイチャついてくるんです」


「ええっ!?」
「平気で、キスとか……してきたりするし……本当に困ってまして」


「なんだか、他人事とは思えない悩みだわ……その気持ち、とてもよくわかりますっ!」
「ほ、本当ですか?」


「ええ。人前のキスはさすがに、恥ずかしいですよね」

「あら、何が恥ずかしいのかしら? とってもステキなことじゃないふふふっ♡」
「えっ?」


「お、お姉……じゃなくて、優菜さまっ!!」

「みんなに自慢したくなるくらい、あなたは彼女から愛されているのよ」
「あ、あの……」


「むしろ、どんどんキスした方がいいわね♪」

「あの、暴走しすぎでは……」

「そんなことないわ。じゃあ渚ちゃんは、莉菜ちゃんとキスするのは、嫌なのかしら?」
「それは……嫌、ではないです」


「ほらねっ♪」
「ただ、あまり目立ちたくないっていうか……」


「大好きな人とのキスは、堂々とするべきよ。七海も本当は、そう思うでしょう?」

「わ、わたしは……」

「まさか、違うというの……うるうる」

「なんで泣きそうな顔で、こっちを見るんですか! もう……わかりました、わたしもそう思います」
「………………」


「(あうっ、渚さんが黙り込んじゃった。これじゃあ全然、彼女の相談に乗れてないかも……)」
「……わかりました。先輩方、ご相談に乗って下さり、ありがとうございました!」


「えっ……こんなので、いいの?」

「渚ちゃん、私のアドバイス、わかってくれたのよ」

「そ、そう……なのかしら?」
「はい。同じ悩みを抱えているのが、自分だけではないとわかって、安心しました」


「ええっ? それって……」
「それでは、失礼します。お互い頑張りましょう、織田先輩」


ガラッ……

「渚ちゃん、素直でいい子だったわね」

「うぅっ……なんだかわたしは、複雑な気分です」

「そう? じゃあ次の相談者が来るまで気分転換に、イチャつきましょうかふふふっ♡」

「で、でも、すぐ入って来ちゃいますよ」

「堂々とキスしてもいいって、さっき七海も言っていたでしょ?」

「あっ……」

「ふふふっふふふっ♡」

「もう……本当に、お姉さまにはかないません。でも、次の人が来るまでですよ」

「は~い。んふふっ……ちゅっふふふっ♡」
