第6話　きっと──葉月なら
※ゲーム本編のネタバレ要素を含んでおりますため、プレイ後の閲覧を推奨いたします。
ずっと気になってたことを、言葉にしてみることにした。
「やっぱ、詐欺だったって思う？」
何が、とか、いちいち言わない。
きっと葉月ならわかってくれるだろうから。
――むしろ、葉月だから、わかってくれるはず。
「詐欺って、何が？」
「……がっかりだわ」
「え、何？　わたし、何か変なこと言った？」
「……葉月とは以心伝心できないってことがわかって、がっかりしただけよ」
「うわ、唐突な発言の上に、その言いよう。ひどっ」
「でも、その酷いのが良いんでしょ」
「うん、そーかもー♡」
「このドMめ」
「いやーん♡」
……本気で喜んでるし。
マジわかんない子。
「はっ！？　もしかして、ドMな女って嫌い？　わたし、ドMゆえに愛実に捨てられる？」
「嫌いじゃないし、捨てないわよ、めんどくさい女ねー」
「メンドクサい女はきら……」
「何回言わせる気？」
「はい、すみませんっ」
付き合ってみると、葉月は変なところにネガティブスイッチがあるので、そのことには気をつけないと。
「で、話を戻すけど、何が詐欺なの？　愛実の外面の話？」
「………………」
何だ、わかってんじゃないの。
「あはは、そんな顔しないで？　や、そんな膨れっ面も可愛いけど♡」
「……膨れっ面なんか、してない」
「してるじゃないのよ、ホラ」
「もー、ほっぺ、つつかないでよ！」
「きゃーん♡　怒っちゃやー」
「はぁ……」
「……あんたと話してると、時々すごく疲れる……」
「でも、猫かぶってる時よりは疲れないでしょ？」
「猫かぶりはあたしの処世術よ。別に疲れるようなことじゃないわ」
「でもさ、やっぱり心のどこかでは疲れてるんじゃないかなって思うのよね」
「だからこそ、猫をかぶる必要のないわたしと一緒にいたいって思ってくれてるんでしょ」
「ハッ、自意識過剰だこと」
「だって、わたしといる時の愛実がのびのびしてるのは事実だもん」
「………………」
「あんたって、時々ムカつくわ」
「えへへー、ごめんねー」
「キスしてあげるから許して♡　チュッ♡」
「……ま、あんたはそれくらいがいいんだけど」
「お褒めに与り、光栄至極」
「……あんた、やっぱムカつくわ。覚えてなさいよ」