「わかってるわよ。あっ、あとで麻衣のもひとくち、ちょーだいね」
「ふふふっ、玲緒さま、わたくしのもいかがですか?」
「綾瀬美夜、やけに親切ね……あっ、もしかしてワタシのケーキを分けてもらおうという魂胆ね」
「いいえ、玲緒さまのケーキと同じもの、わたくしも追加で頼んでありますから」
「むうっ、ズルいっ! ワタシだって、綾瀬美夜と同じの頼むーっ」
「だめぇぇぇっ! 夕飯前にそんなに食べたら、ご飯が入らなくなるでしょう」
「だから、わたくしのを一口、差し上げます……はい、玲緒さま♪」
「美夜……完全に、玲緒さまで遊んでいるでしょう?」
「あら、そんなことないわよ。それにしても璃紗、甘いもの大好きなのに、お茶だけで足りるの?」
「えっ……う、うん、私はこれで十分よ。それにほら、試食品とかもちょっと食べたし……」
「きょ、今日のデパ地下スイーツめぐり、楽しかったわよね」
「そうね。メンバーが4人もいると、手分けして行列にも並ぶことができるのは大きいわね」
「こういう時、同じ趣味の友達がいると良いって思うでしょう?」
「もう、そこでどうして鼻で笑うの? 素直じゃないわね、美夜」
「まぁまぁ、美夜ちゃんなりの照れなんでしょ。こっちも玲緒の趣味に付き合ってくれて感謝してるわ」
「いえ、そんな。こちらこそありがとうございます、麻衣さま」
「それにしても……放課後、この4人で集まるのって、なんか新鮮ね」
「はい。特に美夜が、私以外の人と過ごしているのは珍しいです。お誘い頂いて良かったです」
「ふう……でも、結構歩きまわったせいか、疲れたわよね。もぐ、ぱくっ……うーん、甘いものが美味しい♡」
「な、な、なんでもないわ……って、美夜そのケーキ、さっき食べてたのと違わない?」
(大食いの美夜と玲緒さまは置いておいて、麻衣さまもケーキを……)
「……んっ、じっと見つめちゃって。どうしたの、璃紗ちゃん?」
「いえ、以前皆さんでお茶をした時、麻衣さまは……甘いものを控えていませんでしたか?」
(いつも『太るから、我慢しなくちゃ』と言っていたわよね。なのに麻衣さま、今日は食べてるし……)
「麻衣さまは、私の仲間だっと思ったのに……うううぅっ」
「そ、そうよ……痩せたいから、ケーキも我慢しているのよ」
「……そんなことしなくても、いい方法があるじゃない」
「美夜が、協力って……なんか、嫌な予感しかしないわ」
「まぁまぁ、百聞は一見に如かずというじゃない。聞くだけ聞いてみない?」
「ばばっ、ばっかじゃないの!? こんなところでなに言い出すのよ、美夜っ!!」
「あら、でも本当に効果あるのよ。一回のエッチでカロリーをどれだけ消費するかというと……」
「……わたし、興味あるかも。聞かせて、美夜ちゃん。今夜、玲緒で実践してみたいから」
「1回のエッチで150キロカロリー消費するらしいわ。キスだけでも結構消費するんですって♡」
「ふむふむ、150キロ……キスもいっぱいすると良い、と」
「だからね、エッチの最中に激しいキスもいっぱいすれば、さらに効果は……どきどき♡」
「ふふっ、璃紗ちゃんと美夜ちゃんって、本当にラヴラヴね♡」
「まったく、エロスどもは……もぐもぐ……それにしても、安曇璃紗はなんで、あんなに騒いでいるのかしら?」
「璃紗ちゃんは、悩み多き年頃なのよ。わたしにはその気持ち、よーくわかるわ」
「はぁ、はぁ……なんだか無駄に疲れたわ。美夜のせいだからねっ!」
「わたくしは璃紗のダイエット、真剣に考えてあげたつもりなのに……くすん」
「まぁまぁ。でも、そんなに痩せたいのなら──璃紗ちゃんも自転車に乗ってみない?」
「えっ、自転車? 麻衣さま、自転車に乗っているんですか?」
「うん。前に母に買ってもらったのよ。走るとすごく気持ち良いから、朝や夕方乗ってたらね……」
「気付いたら、3ヶ月で5キロ強、体重が減ってわ♪」
「ごっ、5キロって……自転車って、そんなに痩せられるものなの!?」