「今までの話で、自転車ダイエットがいかに楽かはわかってくれたかしら、璃紗ちゃん？」
プロローグ
「朝の習慣」
第1話
「自転車でダイエット！？」
第2話
「自転車って、辛くないですか？」
第3話
「脂肪燃焼ってどうするの？」
第4話
「レーパンはノーパンで」
第5話
「クロスバイクに乗ってみよう」
第6話
「すっごく軽い！？」
第7話
「電車？自転車？」
第8話
「はじめてのサイクルショップ」
第9話
「自転車のお値段って」
第10話
「自転車いろいろ」
第11話
「この子に決めました♪」
第12話
「おまちかねの納車日」
第13話
「自転車グッズあれこれ」
第14話
「ポタリングはじめました」
第15話
「自転車の交通ルールとは」
第16話
「車道の左側を走ってみよう」
第17話
「サイクリングロードを走ってみよう」
第18話
「脂肪燃焼のコツ」
第19話
「六夏パパのお下がりの自転車」
第20話
「超初心者、自転車に挑戦」
第21話
「ペダル、外しちゃいました」
第22話
「ちぇれすてって何ですか？」
第23話
「ミカ女自転車部」
第24話
「チームジャージを作ってみよう」
第25話
「ツンモード・デレモード」
第26話
「玲緒さまは、とっても○○いから……」
第27話
「久々の、専門用語！？」
第28話
「自転車部の部長と副部長」
第29話
「みんなで一緒に」
第30話
「荒川サイクリングロードを走ってみよう」
第31話
「特別な場所」
第32話
「自転車で、海まで」
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第3話「脂肪燃焼ってどうするの？」
「はい……なんだか、目からウロコが落ちそう」
「あら、安曇璃紗。いつからお魚になったの？」
「玲緒……今はそういうボケ、いらないからね」
「魚ね……ああ、人魚になった璃紗もきっと、超絶可愛いでしょうね♡」
「もう！ 話がそれるから関係ないこと言わないでよ、美夜」
「ふふふっ」
（あれだけ食べても太らない、美夜と玲緒さま……ダイエットに興味ないのはわかるけど、これじゃゆっくり話が聞けないわ）
「ズルいのよ、この2人は……もうもうもうっ！」
「璃紗ちゃん？」
「あっ……麻衣さま、すいません」
「学校の授業じゃないから、そんなに気負わなくていいのよ。もっとリラックスして、聞いててね」
「そ、そうですよね……はぁ～」
「安曇璃紗は……もぐもぐ、ぱく……真面目過ぎるのよね～」
「でも玲緒、あなたは璃紗ちゃんを見習った方がいいわよ。それと食べながら話をしないの」
「わかってるわよ……すぐ麻衣は、お説教するんだから」
「とにかく、自転車は気軽に無理せずに続けられるってことが、このダイエットの一番のポイントだと思うわ」
「はい。それでですね、麻衣さま……んっ？」
「お客様、お待たせしました」
「こ、これは……」
「やった～、追加のケーキ♡ ワタシは紅茶のシフォン」
「わたくしは、完熟マンゴーのタルトよ」
「ちょっと、美夜……また頼んだの？」
「ええ。美味しそうでしょう。璃紗も良かったら食べる？」
「い、いらないわよ……」
「璃紗ちゃん、手が震えているけど……大丈夫」
「ええ、全然大丈夫です。でも、マンゴーだけなら……ううん、だめ！ 美夜の誘惑に負けちゃだめよ」
「このシフォン、すっごくフワフワしてる♪」
「フワフワ……そうね見るからに美味しそう……じゃなくて、羽毛布団みたいね、その上で寝たらきっと気持ち良さそうね」
「寝るのはちょっと、無理あるかなぁ……あははは」
「安曇璃紗、何言ってるのかしら？ そんなに無理してまでダイエットなんて……」
「ちょっと玲緒、だめよ。それ以上言ったら……」
「ダイエットなんて、しなくていいのにー」
ぶちっ！
「んっ？ なに今の音」
「わ、私、もう帰りますっ！ これ以上、この誘惑に耐えられませんっ！！」
「わぁ、安曇璃紗がキレたぁ～」
「ほら……玲緒のせいで璃紗ちゃん、怒っちゃったみたいね」
「ワタシだけじゃないわ、綾瀬美夜だって……あらっ、綾瀬美夜がいない」
「本当ね、どこにいったのかしら？ 危険を察知して逃げたのかしら？？」
「そんなぁ、ズルい～」
「それじゃあ、お先に失礼します」
「あっ……」
「ほら玲緒、璃紗ちゃんに謝って、引き留めて来なさい」
「なんで、ワタシが……」
「あっそう、それじゃあこのシフォンケーキ、私が食べちゃおうかなー♪」
「麻衣のイジワルっ、わかったわよー、安曇璃紗待ちなさい～」
「……ただいま戻りました」
「綾瀬美夜、どこに行っていたのよっ？」
「ちょっとお花摘みに。でも……なんだか玲緒さま、疲れているみたいですね」
「むきーーっ」
「こんな2人はほっといて、璃紗ちゃん。効率よく脂肪燃焼する方法って、わかる？」
「自分に負けないで、長く続けること……でしょうか？」
「それもあるけど、一番大事なのは運動中に、心拍数を一定の高さで維持するなのことよ」
「さっき麻衣さまが言っていた『はぁはぁしない程度』ってことですか？」
「そうよ。効率の良い『脂肪燃焼』をするには、ちょうどいい心拍数というものがあるの」
「その心拍数によって運動の種類は変わるの。それを『運動強度』って言うのよ」
「運動強度……ですか」
運動強度90%以上 → レッドライン：かなりキツい。プロじゃない限り長時間は危険。
運動強度80～89% → 無酸素性運動：結構キツい。筋肉やスタミナを付けたい場合はココ。
運動強度70～79% → 有酸素性運動：そこそこキツい。代謝を良くしたいならココ。
運動強度60～69% → 脂肪燃焼：結構ラク。脂肪を燃焼させて痩せたいならココ。
運動強度50～59% → イージー：かなりラク。久しぶりの運動やリハビリ時にはココ。
運動強度80～89% → 無酸素性運動：結構キツい。筋肉やスタミナを付けたい場合はココ。
運動強度70～79% → 有酸素性運動：そこそこキツい。代謝を良くしたいならココ。
運動強度60～69% → 脂肪燃焼：結構ラク。脂肪を燃焼させて痩せたいならココ。
運動強度50～59% → イージー：かなりラク。久しぶりの運動やリハビリ時にはココ。
「こんなふうに、60から70%位の運動強度を維持するのが、脂肪燃焼には丁度良い感じになるわ」
「それって……自分で判るものなんですか」
「もちろん。心拍計っていうものがあるからね。それがどういうものかは、また今度詳しく説明するけど……」
「それがあれば、一定の心拍数がキープできるはずよ」
「なるほど……でもそれって、人によって違ったりするんですか？」
「年齢や性別によって多少変わるわね。自分にあった運動量……運動強度をまず算出するの」
「うーん……なんか、難しそうです」
「そうでもないわ。数式に当てはめるだけだから」
「数式か……数学みたいな感じですね」
「まずは『安静時心拍数』と『最高心拍数』を調べる必要があるけどね」
「あ、あんていじ……？」
「『安静時心拍数』は、朝、睡眠から目覚め、身体を起こしていない状態での心拍数ね」
「一般的には、男性で60～70程度、女性で65～75程度と言われているわ」
「く、詳しいわね……美夜？」
「今、ネットで調べたわ♪」
「もう……負けず嫌いなんだから」
「もう一つの『最高心拍数』は、文字通り『激しい運動をして限界まで上がった状態の心拍数』……と言う事のようね」
「んー、それでも良いけど、日頃運動不足の人が実際にやると色々と危ないから、計算で算出するのが無難かしら。計算式は……」
「男性の場合『209.6-0.72×年齢』で、女性の場合は『207.2-0.65×年齢』になるわ」
「ふむふむ……」
「例えば……社会人３年目、某附属部で教師をしている25歳女性の場合は……」
「なっ……生々しい例え、ですね……あ、あはは」
「207.2-0.65×25で……191.95ね」
「あ、暗算……って、スマホで計算してたのね……」
「小数点以下を四捨五入して……192って事になるわね」
「さて、上記の2つが判明したら、『カルボーネン法』という数式に基づいて運動強度を算出します。計算式はコレ」
（最高心拍数 － 安静時心拍数）× 運動強度（%）＋ 安静時心拍数
「で、さっきの25歳女性教諭（同棲している年下の恋人有り）が、安静時心拍数を「70」と仮定して、計算式に当てはめてみると……
運動強度69% → （192-70） × 0.69 ＋ 70 ＝ 154.2
運動強度60% → （192-70） × 0.6 ＋ 70 ＝ 143.2
運動強度60% → （192-70） × 0.6 ＋ 70 ＝ 143.2
「と言うわけで、脂肪燃焼を最優先とする場合は、心拍数を143から154の間にキープしながら行う事になるの」
「ふむ、143以上をキープするのよ？ 墨廼江た──」
「とっ、とにかくこの数式に当てはめれば、私のダイエットに相応しい心拍数がわかるんですね！？」
「ええ、そうよ」
「心拍って、心臓のドキドキのことよね……じゃあ朝一番と、夜のベットでの激しい運動中に、わたくしがこの手で測ってあげるわね、璃紗♡」
「うぅっ……余計なお世話よ、美夜ったら！」
「……どうやって測るつもりなの、美夜ちゃん？」
「もちろん、わたくしのこの手で、璃紗の胸を……おっぱいを、わし掴みにして……んふふっ♡」
「もうもう！ そのエロ妄想、ストップ！！」
「……あら、残念」
「とにかく麻衣さま、運動強度のことは家に帰ったら、ＰＣでもっと詳しく調べて見ますね」
「勉強家ね、璃紗ちゃんは」
「勉強となると、熱心なのよね、璃紗は……はぁ～」
「美夜……もしかして、退屈？」
（すっかり夢中になって、麻衣さまの話を聞き入っちゃったけど……美夜はダイエットなんて、興味ないものね）
「美夜も、その……自分の運動強度、知りたくない？」
「わたくしはいいわ」
「美夜ったら、そんなにハッキリ言わないでよ。麻衣さまに失礼よ」
「大丈夫よ、璃紗ちゃん。やっぱり話だけじゃ、美夜ちゃんも退屈よね。難しい話はこれくらいにしましょう」
ガサガサッ
「麻衣さま……それは？」
「サイクルウェアーのカタログよ。実はさっき、デパートで見かけたから、貰ってきたの」
「はい、拝見します……わぁ、色々と種類あるんですね」
「ふーん……」
「麻衣さまもこういうの、着ているんですか？」
「ええ、そうよ」
「そうなんですか……可愛いのもあるけれど、高そうね……はぁ～」
「璃紗、ため息なんかついて……貴女どんな格好で自転車に乗るつもりだったの？」
「ミカ女の、ジャージでいいかなって……」
「………………」
「だから、そこで黙らないでよ～」
「ふふふっ、ジャージでも悪くはないわよ。でも出来れば、専用のを買った方が良いかも。最近のは発汗性も良くてね、他にも……」
「うーん……」
「璃紗、わたくしにもそのカタログ、見せてもらえる？」
「えっ、うん……はい」
「……ん………………んんっ！？」
「あら、どうしたの、美夜ちゃん？」
「この自転車用のパンツって、ずいぶんピッタリとしているんですね」
「ああ、それ。レーシングパンツね。通称『レーパン』。これだと長時間自転車に乗ってもお尻が痛くならなくていいのよ」
「だから専用のウェアが……あれっ、でもこのレーパン、すごく薄そうな素材なんじゃ……」
「た、確かに……」
「これ……下着が透けたりしませんか？」
「透けないわよ？ だって……下着は履かないから♪」
「えええっ！？」
ガタっ！
「ちょ……美夜、座ってなさいってば」
「んふふ、レーパンはね、ノーパンで履くのが基本なの♡」
「のののっ、ノーパン！？ そ、外で自転車に乗るのに、ノーパンで……璃紗が、ノーパン……はうっ♡」
「なななっ、何言ってるのよ、美夜っ！！」
「麻衣さま、その話、もっと詳しく……お願いします♡」
「もうっ、なんでここで急に、美夜が食いついてくるのよ～っ」
「まったく……綾瀬美夜も、エロスなんだから……もぐもぐ……もぐ」