「今回は、璃紗がエッチダイエットに目覚めるお話よ♡」
「って……麻衣さまが自転車に乗って3ヶ月で5キロも痩せたっていうから……でもそれ、本当なんですか?」
「うん、本当よ。興味があるなら、どんどん聞いてね♪」
「じゃあ、あの……自転車ってちゃんとやると、ものすごく辛くないですか?」
「璃紗ちゃん……少年誌の自転車マンガみたいなノリ、想像したでしょう?」
「はい。なんか『ヒメヒメ』歌いながら、坂道を必死に登ったり、道路で胸元をグイッとはだけて……」
「って、その胸の筋肉見せつけてアブアブ走ったりするのが、自転車競技なんですよね!?」
「それに秋葉までママチャリで疾走したり……私、ぜったい無理です!?」
「自転車マンガっていえば、シャカリチじゃないの?」
「しゃか……なんですか、それ? お坊さんの話ですか?」
「うぅっ、何故なの!? 1歳しか違わないはずなのに、こんなジェネレーションギャップがぁ!!」
「ヒメヒメとかアブアブって、お菓子? 美味しいの??」
「とりあえず、その弱ペタとシャカリチっていうのを早速、Amasonでネット注文してみたわ」
「綾瀬美夜、そのお菓子が届いたら一応、ワタシに持って来なさい」
「そっか、シャカリチ知らないのかぁ……ロケット・ユダとかさぁ」
「ろ、ロケットって……そんな技があるんですか、自転車って?」
「なんだか良くわからないけれど、話は長くなりそうね。ケーキ追加注文しようかしら」
「あっ、じゃあ私もおかわりします。すっかりお茶も冷めてしまったし」
「そうね。じゃあみんな、またお茶を頼みましょうか」
「ええ。じゃあ話を戻すけど、自転車でダイエットするだけなら、そんな激しい運動はしなくて良いのよ」
「そうなんですか? 大汗かいて、必死にペダルをこがなくても良いんですか?」
「うん。わたしもお店の人から聞いたんだけど、スポーツとダイエットでは『運動強度』が違うのよ」
「そ、それは……ビジネスや世界情勢に関することなら知っているけれど、スポーツ関係は……」
「そっか。美夜って天才だから、なんでも知っていると思っていたわ」
「くっ、屈辱……くぅぅっ、見てなさい、璃紗。そんなのすぐに勉強して……」
「まあまあ。わたしの場合、自転車を買った時に、お店の人が詳しく教えてくれたのよ」
「運動と一口に言っても、様々な種類があるの。それが『運動強度』ね」
「さて……ダイエットに必要なのは、何だと思う、璃紗ちゃん?」
「その通り。でも厳密に言えば『脂肪を減らす』ってこと。無駄な脂肪を、運動で燃焼させるってことね」
「もぐもぐ、ぱく……安曇璃紗は結構、脂肪があるのね。ワタシは全然ないわよ」
「そうよね。玲緒は脂肪が少ないから、そんなにお胸がペッタンなのよね」
「うっ、うるさいっ! こうなったらもっとケーキ食べて、脂肪増やしちゃうんだから……ぱくもぐ、ぱく!」
「とにかく脂肪を減らせばいいの。それに最適な、運動のレベル……運動強度は、かなり楽なものなのよ」
「そうね、息が乱れないくらいの、軽いジョギングで良いみたいよ」
「そんなに楽でいいんだ……でもでも、本当にキツくないですか、自転車って?」
「楽だと思うわよ。はぁはぁしない程度でゆっくり1時間も走れば、十分に効果は上がるはずよ」
「そうなんですか。ゆっくり、1時間……なんだかできそうかも♡」
「だって顔を真っ赤にして『はぁはぁ』している璃紗の動画を撮る、絶好の機会だと思ったのに」
「ああ……きっと素敵よね、璃紗の乱れ顔。うっとり♡」
「そんなことで、うっとりされても……でもそんな楽な運動で、本当に効果が上がるんですか?」
「その運動強度で1時間自転車に乗ると、大体500キロカロリーくらいの消費にはなるわ」
「500Kと言えば……そうね、小ぶりな牛丼一杯分くらいのカロリーね」
「女性なら1食分のカロリーに相当するわね。つまり食事を1回減らすくらいの効果、と言う事ね」
「それは確かに魅力的すぎる……でもやっぱり、疲れちゃう気がするんですが……」
「あのね、璃紗ちゃん。わたし今、週に3回くらい、早朝サイクリングしてるのよ」
「朝ご飯の前に、サイクリングロードを1時間くらい走ってから登校してるけれど……疲れは残らないわよ?」
「わ、ワタシだって授業中、昼寝なんかしないわよ……たまにしか」
「そ、そんな……身体に良いことづくしで、痩せられるなんて……夢みたい」